福井県知事 西川一誠 様                       平成18年3月22



若狭の原発は大地震に耐えられますか。県は、私たちの疑問と不安に答えてください。


昨年より世間を騒がせている「耐震強度偽装事件」は、特定の業者の特殊な事件とはいえないと思います。あらゆる公共建築物の耐震性について国民が疑念をいだくのは当然ではないでしょうか。とくに、原発の風下住民である私たちは、何よりも原発の老朽化と耐震性にたいして大きな疑念をいだき、日々不安を募らせています。

山陽新幹線の高架橋3割手抜き

「耐震強度偽装事件」は、今回の姉歯事件が初めての事件ではありません。たとえば、2001年2月には、山陽新幹線の約3割の高架橋が、鉄筋からコンクリートまでの厚みが設計時より不足していたことが明らかとなり、ゼネコンのずさんな施工や旧国鉄の管理の甘さが露呈しました。


阪神・淡路震災で、関東大地震級でも壊れないはずの高速道や新幹線橋脚が崩壊

このことで思い出されるのは、阪神・淡路震災です。私たちの記憶にまだ新しい阪神・淡路震災では、関東大地震級の地震でも壊れないとされていた高速道路や地下鉄、新幹線の橋脚や鉄道線路がいとも簡単に崩壊しました。


この国の安全神話はことごとく地に落ちている

また、防災システム研究所の山村武彦所長によれば、阪神・淡路大震災直後に神戸の現場を訪れると、耐震基準が強化された1981年の建築基準法改正以降に竣工したと思われるマンションが崩壊していたが、数日後にはきれいに片付けられており、その素早さにア然とし、「証拠隠滅」の文字が頭をよぎったそうです。

本年1月、阪神・淡路大震災のメモリアル番組で「ニュース23」は、取り壊されずにいるビルのコンクリート柱の鉄筋の手抜きや、上階と下階とを貫かなければならない縦の鉄筋が途中で切断されている映像を映し出しました。このように公・民を問わず無数の手抜き工事の実例がある中で、原発だけは手抜きもなく安全に保守されていると信ずることなど私たちにはできません。

最近だけに限っても、11名の死傷者をだした美浜3号炉事故、JR西日本の脱線事故やアスベスト問題、米国産牛肉の脊柱混入問題と、この国の安全神話がことごとく地に落ちている中で、どうして原発の耐震性だけは問題がないと断言できるでしょうか。


原発の建設現場で4割の手抜き工事

2001年4月5日、県短歌歌人連盟委員の奥本守さんが出版した歌集「若狭の海」が福井新聞で紹介されました。「原発の設計や予算は完ぺきなれど 曾孫受けなれば四割工事」 この歌は、建設現場で手抜き工事があったことを歌ったものだそうです。奥本さんは、1965年ころから15年間、原発建設作業員として10基以上の原発建設現場で鉄筋組み作業に従事されました。

「一介の作業員」の歌、「建設の素人」の言い分としりぞけず、現場での見聞をもとにした生々しい証言として私たちは真摯に受け止めるべきだと思います。それは、地震の専門家たちが、関東大地震級の地震でも壊れないと胸を張っていた高速道路や新幹線の橋脚がたやすく破壊されてしまった現実を見れば、原発の耐震性についても想像することはたやすいからです。


複数の活断層は一本の連動する活断層帯

阪神淡路大震災後に設置された国の「地震調査研究推進本部」は、2003、2004年に、若狭湾近辺の活断層の長期評価を公表しました。それによると、関電など電力会社のこれまでの評価では短くぶつぎりにされていた複数の活断層は、一本の連動する活断層帯ととらえられています。

たとえば、@甲楽城断層+山中断層+柳ヶ瀬断層+関が原断層、A立石沖にある海域断層+浦底断層(敦賀原発の真下)+柳ヶ瀬山断層、B美浜原発の沖にある海域断層+野坂断層、C三方沖の海域断層+三方断層+花折断層北部、というように、一本の活断層帯として動けば、これまで想定していなかった大地震が起き、原発は破壊されるということです。


活断層の追加調査を日本原電(株)に指示

このため、原子力安全・保安院は、敦賀原発3・4号増設に関連して日本原子力発電(株)に、この4つを含む陸域・海域の多くの活断層についての追加調査を指示しました。なお、関西電力の既設の原発に対しては、同様の指示はなされていません。建ってしまっている原発に対しては手の打ちようがないということなのでしょうか。これらの問題に、県はどのように対応されていますか。


滋賀県は被害予想や防災計画を修正!

参考までに申し添えますと、滋賀県の県民文化生活部の地震対策室は2004年5月、琵琶湖西岸断層帯(59km)による地震(M7.8程度)など、6つの活断層に関する「地震調査研究推進本部」の評価を受けて、被害予想や防災計画の修正に着手しました。福井県もぜひ滋賀県に見習って、県民の安全と生命を守るという立場で、少なくとも、電力会社に対して再調査・安全確認の指示をしていただきたいと思います。



以下のことを、私たちは署名を添えて申し入れいたします。


 1、原発で手抜き工事はないということの確証は得られていますか。県は住民説明会などでご説明ください。

 2、「地震調査研究推進本部」による若狭湾近辺の活断層の長期評価にもとづいて、県独自に若狭の原発の耐震安全性の再評価・安全確認を行うべきだと私たちは思いますが、その点についても住民説明会などでご説明ください。







氏   名

住       所

職   業

 署名の集約連絡先 : 越前市         TEL 0778-   -