原発の耐震性も疑わしい

今立商工会長・和紙組合理事長・区長の署名を県に提出

姉歯設計士の「耐震強度偽装事件」が世間の耳目を騒がせているころ、近所に住む津田鋼業(株)の会長・津田育宏さん(80才)が拙宅にやってきました。彼は、5年前に書かれた二つの新聞記事『若狭の原発建設工事で4割の手抜き工事』(注1)『新幹線の架橋工事の手抜きが判明』(注2)を手に、原発の耐震性も疑わしいと憤っていました。議会で取り上げて議論をしなさい、君がやらないなら自分が行動を起こすというのです。私は、越前市は立地自治体ではないので、県へ説明を求めに行きましょうと提案しました。彼はさっそく、商工会長や役員、和紙工業協同組合の理事長、各区の区長など旧今立町の主だった人の署名を集めてきました。

津田さんは、広島原爆の投下の日、広島の航空隊基地にいて被曝し地獄の体験をされています。これまでも、原発問題に関しては厳しい眼を向けておられましたが、自ら具体的に行動されるのは初めてのことです。不正と無責任とが蔓延し、それを弾劾する声もか細い日本社会を憂慮し、数少なくなった被曝者の責務として原発事故の危険に今こそ警鐘を鳴らさなければと自らを奮い立たせられたのでしょう。

3月22日に、私たちは二人で県庁へ行き、次の二つを住民説明会などで説明するよう申し入れました。

1) 原発で手抜き工事はないということの確証は得られていますか。

2) 「地震調査研究推進本部」による若狭湾近辺の活断層の長期評価にもとづき、県独自に若狭の原発の耐震安全性の再評価・安全確認を行うべきです。

県(原安課)の答えは、原発の安全性は厳しい基準で担保されている、手抜き工事がどこで行なわれたという具体的な情報をいただかなければ調査できないというものでした。それなら、定期検査の短縮など恒常的な手抜きは調査されているのか。阪神・淡路大震災で、関東大地震級の地震でも壊れないとされていた高速道路や新幹線の橋脚や鉄道線路が崩壊した事実を見ているので、原発の安全性は担保されているとの建前論も虚しく聞こえるだけ。商工会長や役員、和紙工業協同組合の理事長、各区の区長など、これまでに声を出していなかった階層の人たちも心配し始めているように、今後も、原発の安全性に対する県民の不信は増えこそすれ減少することなどありえない。福島県のように、ポスト原発を見越した地域振興策を模索しつつ、国に対しても原発政策の見直しを直言すべきではないか。などなど提案して帰りました。

なお、県は「地震調査研究推進本部が指摘している甲楽城・関が原断層帯などの評価については、地震の起きる確率は0%なので心配ない」などと説明していました。しかし、11年前に六甲・淡路島断層帯が阪神・淡路大震災をもたらしましたが、地震調査研究推進本部による地震発生直前の30年以内地震発生確率は、断層帯主部の区間で「ほぼ0%〜0.9%」、地震断層がはっきり現れた野島断層を含む区間でも「0.02%〜8%」にすぎませんでした。甲楽城断層は野島断層と同じ「A級に近いB級で比較的活動度の高い活断層」ですし、30年以内地震発生確率が「ほぼ0%」と言われても安心できません。

 今回の県への申し入れを手始めに、原発の耐震問題で住民説明会を開かせ、耐震性に問題のある原発は1日も早く止めていきたいと考えています。この問題をできるだけ広く住民に知らせるため講演会の開催や新聞折込を考えています。少しでも結構ですので、新聞折込カンパをお寄せ下さるようお願いします。

(注1)20012月には、山陽新幹線の約3割の高架橋が、鉄筋からコンクリートまでの厚みが設計時より不足していたことが明らかとなり、ゼネコンのずさんな施工や旧国鉄の管理の甘さが露呈しました。

(注2)20014月5日、県短歌歌人連盟委員の奥本守さんが出版した歌集「若狭の海」が福井新聞で紹介されました。奥本さんは、1965年ころから15年間、原発建設作業員として10基以上の原発の建設現場で鉄筋組み作業に従事したそうです。「原発の設計や予算は完ぺきなれど ひ孫受けなれば四割工事」は、ひ孫請業者が4割の手抜工事をしていたことを歌ったものです。